Appleのユニファイドメモリは、「VRAMが足りない」という問題を「帯域幅が足りない」問題に置き換えます。128GBのMac StudioならLlama 3.3 70Bとgpt-oss 120Bを1台で動かせますが、これはどのコンシューマーGPUにもできません。一方、同じモデルが収まるRTXではMacの2〜3倍の速度です。 2026年9月5日時点の結論は、100B超のMoE、静音性と低消費電力、またはもともとMacを買う場合はMac、主力が8B〜32BのDenseモデルで応答速度とVRAM単価を重視するならRTXです。以下では同じ式で両者を同じ表に載せます。
Macのユニファイドメモリで大規模モデルは実用的?Mac StudioとRTX GPUの実比較(2026)
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本文とFAQの数値は2026年9月5日時点です。表には最新の公開済み価格を使用し、収集日は機種ごとに異なる場合があります。


ユニファイドメモリとVRAMは何が違う?
ユニファイドメモリはCPUとGPUが共有する一枚のLPDDR5Xで、大容量だが低帯域幅です。VRAMはGPU専用のGDDRで、小容量だが高帯域幅です。 比較値は次のとおりです。
| デバイス | メモリ / VRAM | 帯域幅 | 種類 |
|---|---|---|---|
| Mac Studio M4 Max 128GB | 128 GB | 546 GB/s | LPDDR5Xユニファイドメモリ |
| Mac Studio M5 Max 128GB | 128 GB | 614 GB/s | LPDDR5Xユニファイドメモリ |
| Mac Studio M3 Ultra 512GB | 512 GB | 819 GB/s | LPDDR5Xユニファイドメモリ |
| RTX 3090 | 24 GB | 936 GB/s | GDDR6X |
| RTX 4090 | 24 GB | 1,008 GB/s | GDDR6X |
| RTX 5090 | 32 GB | 1,792 GB/s | GDDR7 |
| RTX PRO 6000 Blackwell | 96 GB | 1,792 GB/s | GDDR7 |
LLMのデコードは帯域幅集約型です。tokenを1つ生成するたびに有効な重みをすべて一度読み込むため、速度 ≈ 帯域幅 ÷ 重みサイズとなります。容量が実行可否を、帯域幅が実行速度を決め、両者はちょうど互いの弱点を持ちます。
同価格帯で動かせる最大モデル
4万人民元以内では、Macが動かせる最大モデルは70B Denseまたは120B MoE、RTXは32B Denseまでです。10万人民元を超えるRTX PRO 6000でようやくMacの容量に追いつきます。 現在の中古価格と4-bit / 8Kで動かせる最大Denseクラス:
| 項目 | Mac Studio M4 Max 128GB | |||
|---|---|---|---|---|
| VRAM | 128 GB LPDDR5X | 24 GB GDDR6X | 32 GB GDDR7 | 96 GB GDDR7 ECC |
| 帯域幅 | 546 GB/s | 1,008 GB/s | 1,792 GB/s | 1,792 GB/s |
| BF16 | — | 330.3 TFLOPS | 419 TFLOPS | 500 TFLOPS |
| INT8 | — | 661 TOPS | 838 TOPS | 1,000 TOPS |
| 消費電力 | 480 W | 450 W | 575 W | 600 W |
| インターフェース | — | PCIe 4.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 |
| 発売日 | 2025年3月12日 | 2022年10月12日 | 2025年1月30日 | 2025年3月18日 |
| 希望小売価格 | — | ¥249,720 | ¥312,190 | — |
| eBay(米国中古) | — | ¥499,753 | ¥1,013,874 | ¥2,652,597 |
| GB 単価 | — | ¥20,823 | ¥31,684 | ¥27,632 |
| 動く最大の密モデル(4-bit、8K) | 70B | 32B | 32B | 70B |
| Llama 3.3 70B の速度 | 7 t/s | 収まらない | 収まらない | 30 t/s |
M4 Max 128GBの価格はRTX 4090 1枚と同程度ですが、4090には70Bが収まりません。GPUで70Bの4-bitを動かす最安経路はRTX 3090を2枚(48GB、約1万6,000人民元)です。マルチGPU入門を参照してください。
速度比較:すべては帯域幅で決まる
両方に収まるモデルではRTX 4090はM4 Maxの2倍以上高速です。Macにしか収まらない大型モデルでは、RTXはエキスパートをオフロードすると逆にMacより遅くなります。 推定デコード速度(4-bit、8Kコンテキスト):
| モデル | Qwen3 8B | Qwen3.8 27B | Llama 3.3 70B | gpt-oss 120B |
|---|---|---|---|---|
| Mac Studio M4 Max 128GB | 55 | 18 | 7 | 68 |
| Mac Studio M5 Max 128GB | 61 | 20 | 8 | 74 |
| Mac Studio M3 Ultra 512GB | 81 | 26 | 11 | 90 |
| 114 | 38 | 収まらない | 21* | |
| 122 | 41 | 収まらない | 21* | |
| 201 | 70 | 収まらない | 21* | |
| 36 | 11 | 5 | 48 | |
| 24 | 8 | 3 | 35 |
4-bit、コンテキスト 8K、単一ストリームでの推定デコード速度。* 付きは MoE モデルのエキスパート重みをシステム RAM(70 GB/s と仮定)に置いて動かした場合です。
結論は3つです。
- 8B〜27BのDenseモデルではMacの体感は明らかに遅く、Qwen3.8 27BはM4 Maxで約18 tokens/s、4090で約41 tokens/sです。
- gpt-oss 120Bのような大型MoEはMacの得意分野で、全体をメモリに置けば約68 tokens/sです。4090はエキスパートをシステムメモリに置くしかなく、約21 tokens/sです。
- DGX SparkとRyzen AI Max+ 395の128GB版は低帯域幅モデルで、同じ70Bは3〜5 tokens/sにすぎず、バッチ処理と開発デバッグ向けです。
70B以上を単体で動かせるのはMacだけ?
いいえ。ただしMacが最も手間の少ない1台です。GPU案は24GBカード2枚か96GBのRTX PRO 6000で、前者はケースと電源を組む必要があり、後者は十数万人民元です。 70B 4-bitの選択肢:
- RTX 3090を2枚:48GB、約1万6,000人民元、推定16 tokens/s。Macの2倍ですが、1000W電源、大型ケース、高い騒音と消費電力が必要です。
- RTX 4090 48GB改造カード:単体48GB、中古約2万5,000人民元、推定17 tokens/s、保証なし。
- RTX PRO 6000 Blackwell 96GB:推定30 tokens/s、128Kコンテキスト可、12万人民元。
- Mac Studio M4 Max / M5 Max 128GB:7〜8 tokens/s、静音、150W以下で、普段使いのPCにもなります。
- Mac Studio M3 Ultra 512GB:DeepSeek V4 Flash(155 GB)とQwen3.8 Flash Nextを丸ごと載せられる唯一の家庭向けマシンで、前者は約47 tokens/sです。
200B超のMoEでは512GB Macが家庭向けの唯一の解です。70B Denseなら3090を2枚にした方が高速かつ安価です。
ソフトウェア環境:Mac上のMLX、llama.cpp、Ollama
llama.cppとOllamaはMacでそのまま使え、Apple Silicon上のMLXはllama.cppより1〜2割高速です。vLLMとファインチューニングのエコシステムは依然CUDAが中心です。
- llama.cpp / Ollama:Metalバックエンドは成熟しており、GGUFを直接利用でき、
ollama runは1コマンドです。本記事の速度推定もこれを基準にします。 - MLX:Appleのフレームワークで、重みはMLX形式を使います(Hugging Faceのmlx-communityに一式があります)。デコードは通常llama.cppより10%〜20%速く、LM Studioにも内蔵されています。
- vLLM / SGLang:Metalバックエンドがないため、バッチサービスと高並行処理にはMacは向きません。
- ファインチューニング:MLXでもLoRAは可能ですが、同価格帯のRTXより数倍遅く、本格的なファインチューニングには依然CUDAが必要です。
- メモリ上限:macOSは既定でGPUにユニファイドメモリの約75%しか使わせません。
sudo sysctl iogpu.wired_limit_mb=110000で128GB機を110GBまで開放できます。
結論:用途別の答え
70B以上を10 tokens/s以下で許容できるならMac、主力が32B以下で高速かつ安価にしたいならRTX、両方ほしいなら3090を2枚と普通のMacです。
- Macを選ぶ:gpt-oss 120B、GLM 4.5 Air、DeepSeek V4 Flashのような大型MoEを動かす、オフィスや寝室で静音が必須、またはもともとMacを買い替える場合。
- RTXを選ぶ:日常的に8B〜32Bを使い応答速度を最優先する、ファインチューニングやvLLMサービスを行う、VRAM単価で予算を判断する場合。予算で選ぶローカルLLM用GPUも参照してください。
- DGX Spark / Ryzen AI Max+ 395を選ばない:CUDA開発環境(Spark)またはx86 Linux(Strix Halo)が必要な場合を除き、同額ならM4 Maxが2倍高速です。
- AMD GPU:VRAM単価は低い一方でエコシステムに落とし穴があります。AMD GPUでローカルLLMを動かす現状を参照してください。
よくある質問
Macで大規模モデルを動かすとGPUよりどれほど遅い?
同じモデルが両方に収まるなら、速度比は帯域幅比に少し効率差を加味した程度です。M4 Maxの546 GB/sとRTX 4090の1,008 GB/sでは、Metalの効率もCUDAよりやや低いため、Qwen3.8 27B 4-bitは推定18対41 tokens/sで半分以下です。
128GBのMacで70Bモデルは動く?
動きます。Llama 3.3 70Bの4-bitと8Kコンテキストは約43 GBなので、128GBのユニファイドメモリに収まり、128Kコンテキストも開けます。推定7〜8 tokens/sで、読書速度の下限です。
MacのユニファイドメモリはすべてGPUに使える?
既定では使えません。macOSはGPUの利用上限を総メモリの約75%に設定します。sysctl iogpu.wired_limit_mbで上げられますが、システム用に8〜16GBは残してください。本サイトの実行可否は総メモリで判定しているため、実運用では余裕を見ます。
DGX SparkやRyzen AI Max+ 395のような128GBミニPCはMacより良い?
容量は同じでも帯域幅が大きく異なります。DGX Sparkは273 GB/s、Ryzen AI Max+ 395は256 GB/sで、M4 Maxの半分しかなく、70Bは3〜5 tokens/sにとどまります。強みはCUDAまたはx86のエコシステムと価格であり、速度ではありません。